2013年10月01日

ローマ人と海の都の物語(7)

案外時間がかかりつつ、ホテルに到着。
今までダラダラ書いてきたけど、この旅行で私の一番の目玉といえばこのホテルであった。
塩野七生先生をして「ヴェネツィアの歴史に少しでも関心を持つ泊まり客にとっては、単なる最高級ホテルにとどまらない良さを持っているのだから仕方がない」と言わせ、浅田次郎先生に至っては「もし私が『世界で一番美しいところに連れて行ってやる』と強弁して誰かを誘うとしたら、それはマラケシュのラ・マモーニアではなくヴェネツィアのダニエリであろう」とまで言っていた、憧れのホテル・ダニエリ!1822年創業、元はヴェネツィアの名家中の名家、ダンドロ家の館であったホテル・ダニエリ…!
私は全くの庶民なので臆面もなくこんなことを書くけど、宿泊費は高かった。「海が見えるなるべく高層の部屋」を指定したもんだから尚更かかった。はっきり言ってこの旅行の費用の半分はダニエリの宿泊費だった。
期待に満ちみち、さあ見せてもらおうその実力を!
…と張り切って入口の回転ドアに向かう。案外狭い。あとで知ったけど、このホテルに泊まろうと思ったら多少の見栄を張ってでも水上タクシーで来るべきだそうだ。駅から60ユーロくらいするらしいけど、ホテル専用の船着き場があるそうで。だから陸の入口が狭かったのか。とも思ったけど、ホテル自体がこぢんまりしている。これもあとから理解したけど、ヴェネツィアって都市自体が元々干潟かなんかのものすごく地盤のゆるいところに建てられたもんだし、土地がないのでそんなにでかい建物を作りようがないのだ。
しかし、こぢんまりながらも豪華さがぎゅっと詰まったクローク。明らかに顔も採用基準にあったと思われるホテルマンがすかさず案内をしてくれる。パスポートもチェック後すぐ返してくれる。ありがとう。
部屋の鍵もカードキーのような味気ないものではなく、豪奢な赤い房のついた鍵。ただし、ご時世に反映してセキュリティーのしっかりした鍵になっている(と思う)。
そのイケメンすぎるホテルマンが、チェックイン手続の後私達を部屋まで案内してくれた。
ダニエリには旧館(ここが一番古く由緒ある建物)と2つの新館があるのだけど、私達の部屋は旧館だった。おおお…これが、塩野先生が泊まるにあたってわざわざ指定した「旧館の海の見える部屋」…!
案内しながらホテルマンが英語でペラペラっと「Wi-Fiはタダじゃないけど使えるよ」とか色々説明をしてくれる。綺麗な英語なので聞くくらいはなんとかなる。
エレベーターで2階にあがり、本場ヴェネツィアン・グラスのシャンデリアを見ながらもう1階分階段を登る。ついたー!
天井が低い分昨日までのUNA HOTELよりこぢんまりして見えたけど、本当はこっちの方が多少広い。天井マジック。
家具は全部アンティークっぽい。時代がかった鍵がついていて、ドレッサーとか複雑なカーブのタンスとかがある。その中で液晶テレビがなんだか浮いていた。競馬をやっていたので思わず「Horse Race」と呟く。…反応してよイケメン!なんか言ってくれたら「イタリアのミルコ・デムーロは日本でも相当人気のあるジョッキーだよ!」くらい言ってあげたのに。
窓は泥棒避けの為か、ワイヤーがついたちょっと特殊な鍵になっていた。バルコニーじゃないのがちょっと残念だけど、ラグーンが一望出来る。ほほう、これが…。確かに美しい。
ホテルマンに「お部屋はこれでよいですか?」と聞かれたので、いいよと答えたら帰っていった。「やだーもっと広い部屋がいいー」と駄々をこねたらどうなったのか、今ちょっと気になっている。

気を取り直して部屋を隅々まで探検。風呂は壁まで大理石だった。
テレビ台の下のキャビネットに冷蔵庫とおつまみ的なものが収まっていた。そういえば「冷蔵庫の中にあるミネラルウォーターはタダですのでご自由にお飲み下さい。毎日補充しますので」と願ってもないことをホテルマンが言っていた。水問題解決だ!やったー!!しかも毎日2本くれた。さらに美味かった。よ、よかったーー!

部屋を出てホテル内を探検する。どこもかしこも由緒ありげな絵画やら彫刻やら家具やらがさりげなくちりばめられている。城というには狭いけどこんなものなのかなァと罰当たりなことを思う。「ツーリスト」でジョニデとアンジーが泊まっていた部屋があるはずなんだけど、そんな部屋このホテルのどこにあるんだ?と疑問に思ったのは正しくて、部屋のシーンはダニエリではなく別の場所(ホテルですらない)で撮影したことを後から知った。なんだよもーうそつき!
後で知ったことだらけだけど、「ツーリスト」で出てきたダニエリで本物はフロントくらいのもので、船着き場も別の場所だし部屋も別だし、ほぼ名義貸しに近い。
これってホテルにとってはかえってイメージダウンになるんじゃ?と思ったけど大丈夫なんかなあ。

外に出る。ホテルのすぐ側にあるサンマルコ広場は、上野と良い勝負なくらいハトが多い。物売りも多い。「VENEZIA」とか書いたTシャツの他、ローマで見た叩き付けるおもちゃも売ってた。しかしヴェネツィアバージョンは叩き付けるとむにむにと元の形に戻るだけで鳴きはしない。このへんはローマの方が都会なのだろうか。

サンマルコ広場にあるカフェ・フローリアンでお茶。1720年創業の老舗。
店の中でも良かったけど、外の景色を眺めながら食べるのもいいかもねえと思って外の席へ。すぐ横で楽団が生演奏をしていた。
超有名店の割にすいてるなあと思った理由はすぐに分かった。
高い。恐ろしく高い。まず、テーブルに「ミュージックチャージ1人6ユーロいただきます」と書いた紙が置いてある。うん、まあそれは想定内だからまだ良い。メニューをみてたまげた。それぞれいくらだったか忘れたけれども、エスプレッソとケーキ2人分、それにミュージックチャージでしめて52ユーロ(邦貨換算で約6800円)。何の冗談か。たっかーーーーい!
これだけ高けりゃガラガラのはずである。納得。
ちなみに味は可もなく不可もなくだった。執事喫茶の方が美味いと思う。
ま、雰囲気代だな…。

周囲のお店をちらちら見たりした後、今日の晩ご飯はどうしようかということになる。ケーキ食べた後だからさほどお腹がすいてるわけではないし、軽い物ですませよう。道すがら適当な店を何軒か見つけるものの、夫がどれも「なんか違う」と面倒なことを言うので、夫についてうろつくとまんまと迷う。
この日私はダニエリにチェックインするだけのために持ってきたオシャレ靴だったので足が痛いし、路地は狭いし、とっくに夜で日も落ちてるし、外国だし(ヴェネツィアはローマよりはるかに治安がいいらしいけど)、怖いし、なんなの。
地図を見るのは夫に全て任せ、私はともかく足を引きずって歩くことに専念する。痛い。ちょー痛い。怖い。喋れぬ。
夫も気の毒だったとは思うがもっと気の毒だったのは私で、結局もとの広場に戻って見つけた店に入るという切なさ。ううう。
投げやりに頼んだスパゲッティボロネーゼ(所謂ミートソース)は普通の味で安心した。夫が頼んだセットはサラダとニョッキとポークチョップ。サラダについてきたのは酢とオイルで、自分で混ぜてドレッシングにするらしいんだけど、太るからといって酢だけかけた夫。酸っぱいサラダが出来上がった。ポークチョップはえらく油がギトギトで、夫は食べる前に皿にぎゅーと押しつけて油を搾ってから食べていて大変そうだった。

帰ったら部屋にウェルカムスパークリングワインが置かれていた。おお、すごいな、ダニエリ!
はーー、ともかくおやすみなさい。

(続く)


posted by かんざき at 23:34 | Comment(0) | 遊び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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